なぞなぞ第七問解答 [イェルクッシェ]
「第七問解答」
「さぁ、選ぶといい、お前達の行く末をね。」
ヤガーが引きつったような笑みを浮かべた時、イェルクッシェは迷わず直ぐにひまわりの柄のカップに行きました。
そしてそれを見回すと言いました。
「おばさん、飲んでいいの?」
自信満々のイェルクッシェとはうって代わり、他の者は真剣に考え始めました。
足元や頭の中に色々書きとめては唯一つの正解を探しました。
ノドは一つ一つそのカップが正解だった場合を想定して当てはめてゆきました。
そうして意を決し、ひまわりのカップに進みました。
ジルコーニアは表をたくさん書いてさんざん悩んだ挙句ノドに続きました。
でぴぴも表を書いていました。そうしてお耳をぱたぱたさせたりお鼻をひくひくさせていましたがやや不安そうに秋桜のカップの元に行きました。
ポイトコナは慌てふためきながら一生懸命考えようとしましたが、なかなか考えがまとまりません。
他の者の様に表を色々書いてみたもの何を書いているのか分からなくなってしまい一層焦ってしまいました。
それでもがんばってがんばって眉間が痛くなるほど考えてやはり不安そうにしているでぴぴの側によろよろ跳んで行きました。
「ちび共は決まったようだね、で、あんたはどうすんのさね。」
その軋んだ声にカシムはじっと見つめていたひまわりのカップからヤガーに視線を移すとやや眉をしかめ、そして秋桜のカップを引き寄せました。
「おっと、一人で飲んではいけないよ?さぁ、決まったのなら皆でお上がり。イヒヒヒヒ。」
「いただきまーす。」
イェルクッシェが躊躇なくふたを開けて飲み始めるとノドもジルコーニアも慌てて飲み始めました。
自信たっぷりな者が向こう側にいるものだから、でぴぴとポイトコナは不安のあまり心臓がきゅんとなりました。
所がその背をそっと撫でてカシムは心配ないよとばかりに微笑みながら飲みました。
二匹はお顔を見合わせると目を閉じ、思い切って飲みました。
「ハッハッハ!飲んだねのんだね。」
ギラリと目を光らせるヤガーにカシムが大臣から預かった親書を取り出すとパラリと一度広げて見せましたがそれを筒の形に丸めました。
「ヤガー、お話があります。この子たちにはちょっと…」
そう言って筒の片方を自分のお口に添えますと、ヤガーも片方の眉を上げ怪訝そうに耳を向けました。
カシムはヤガーに近づき、筒が耳に届く所まで寄りました。
イェルクッシェが苦い苦いとむせていました。
カシムは筒の中に囁くように言いました。
「貴方がリヴリー達に気を取られている時に飲んだのです。紅茶を。」
ヤガーははっとしました。香りがしたのです。
「ヤガー、貴方が教えてくださったのです。紅茶は香りを楽しむ物だ、そして痺れ薬は鼻からも有効だと。」
ヤガーの驚いた顔をよそに、カシムは話すカップを両手で器用に四つとも取り上げました。
「私が毒を飲んだことはわかっています。」
カシムの言葉にポイトコナとでぴぴは青ざめました。
「毒を飲んだ?カシム君が?じゃぁ僕達も?」
震えるポイトコナをぎゅっと抱きしめでぴぴは大丈夫よと繰り返しました。
「カシムはわざと飲んだんだもの、きっと考えがあるのよ。」
そんな事を言われてもポイトコナは落ち着いてなどいられません。他の者は大事なお友達が毒を飲んだという事を改めて認識し、慌てふためきました。
カシムは言いました。
「春のカップの話、前半が正しいとするならば答えは『秋』後半ならば『春か夏』よってこの時点で『春夏秋』の可能性に絞られます。夏のカップの話の前半を正しいとするならば『春夏』後半ならば『冬』これで夏のカップの言い分は『春夏冬』。秋のカップの話の前半が正しければ『夏』後半ならば『秋冬』これで秋のカップが言うには『夏秋冬』。冬のカップも同じ様に前半ならば『春秋冬』後半ならば『夏』。」
「だから冬のカップはあてにはなりません。春、夏、秋のカップの示す可能性をあわせて見ます。『春夏秋』、『春夏冬』、『夏秋冬』これら総てに含まれるものは『夏』、つまりひまわりのカップが薬湯のカップと言う事になります。」
それを聞くとノドは鶏がらスープにならなくて済んだとほっとしましたが、すぐに他の三人をなんとかしなくてはと考えました。
ジルコーニアは急いでポイトコナとでぴぴに薬湯を勧めました。
「坊主、アンタはそれを知りながらどうして毒を選んだんだい。」
ヤガーの睨みつけるような視線にもたじろがず、カシムはヤガーと自分の手元の間にナプキンで死角を作るとその中にリヴリー達とカップを置きました。
「今度は私の番です。これが公平と言うものです。僕が毒を飲んだのはこの子達だけを死なせる訳にもいかないし、貴方に僕の真剣を理解していただく為です。そして僕が命を賭けた以上、貴方にもそうして頂きます。」
(薬湯の入ったカップは『ひまわりの柄のカップ』でした。)
僕はxephon さんとお話をするきっかけとなったこのお話しを
最初から触れ合う幸運に恵まれました。
ノドくんが僕の所に来てくれて数日のことでしたから
もう4年か・・5年も前になりますか。
リヴリーの掲示板を使って掲載されたこの謎解きは
解答にお邪魔したリヴリーたちを巻き込んで
翌週か解答が揃うと、更なる冒険の謎へと進んでゆく
とても贅沢なものでした。
僕らはわくわくはらはらしながら
どれだけ自分たちのリヴリーの活躍を楽しみにしたことでしょうか^^
謎はすべてxephon さんオリジナルのものですから
本格的なものから、駄洒落(?w)的なもの、
とんちがきいたものやら、謎かけ的なものまで多岐に渡っていて
いやはや、随分苦しめられましたw
その中でも僕はこの謎解きが大好きでした^^
ノドくんが毒を飲んでは一大事と、かかりっきりでメモを持ち歩き
何度も検証し、ようやく答えを導き出しました。
こちらにまた再掲載していただいて
ノドくんと共にそのときの冒険をまた熱く語っています^^
答えをもう知っている僕はこちらに解答を書くことは出来ませんが
物語としての完成度の高さに、
いつもとても楽しませていただいています^^
by takehiko (2009-12-01 19:00)