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なぞなぞ第八問 [イェルクッシェ]

「第八問:対決!」

 ヤガーはやや眉を吊り上げました。
「それでどうするって言うんだい?」

 「貴方にも問題を解いてもらいます。」
言った後カシムはヤガーから見えない位置に居るリヴリー達に小声で指示を与えました。

 イェルクッシェは燭台にカシムが持っているナプキンの端を引っ掛け、反対の端を自分が掴むと背一杯背伸びをしてカシムの代わりを務めました。

 両手が自由になったカシムはナプキンの向こうで何かを始め、他のリヴリー達も手伝いました。
カシムは真剣な表情で支持を与え、時折紅茶で喉を潤しました。
 そうして少し経った時、カシムはイェルクッシェを見ました。

 それが合図だと思ったイェルクッシェはそれ~とナプキンを跳ね除けました。
するとヤガーの目の前に、最後のカップからソーサーに中身を注ぎ終わる所が見えてしまいました。

 カシムはしまったという風なお顔をしましたがすぐにそれを他の空になっている三つのカップに混ぜました。

 ヤガーは目を細めて小さくニヤリとしましたが、すぐにそれを消しました。

 カシムはヤガーの表情を一度盗み見ましたが何食わぬ顔で言いました。

 「受け皿にカップから注いだ物があります。あのカップでは貴方が中身を知っているので器を変えました。皿の中身はどのカップのものか皿の前に居るリヴリー達が知っています。」

 「ほう?それで同じ事をさせようというのかえ?」

 ヤガーは馬鹿にしたような笑みを浮かべました。

 「そうです。但し、この子達は嘘を言いません。」

 「何?」

 ヤガーは眉を寄せました。

 「嘘を言わないだと?」

 カシムは真っ直ぐ向いて言いました。

 「そうです、半分嘘をつくなんて事はしません。貴方は痺れ薬を中和する薬湯を見つけるだけで構いません。」

 そう言ってカシムは落ち着くためなのかもう一度紅茶のカップを口に運びました。

 「そしてもう一つ条件があります。貴方は魔女で賢い。だから時間制限を設けます。」

 その声が合図とばかりにリヴリー達は自分の側にある受け皿の端の下側にクッキーの欠片を押し込みました。

 受け皿は傾き、数滴ずつ中身がこぼれだしました。

 「なくなればどの皿からも飲めなくなります。」

 ヤガーはいまいましそうにカシムを見た後、リヴリー達に怒鳴りました。

 「早くお言い!」

 リヴリー達は一度ビクっと体を震わせましたが端から順番に言いました。

 ポイトコナは言いました。

 「これは僕が選んだのじゃないよ。」

 ノドはこう言いました。

 「ポイトコナ君…隣の子のは選んだものではありません。」

 でぴぴはこうでした。

 「これは私が選んだものじゃないわ。」

 次に最後のお受け皿のジルコーニヤが口を開く前にヤガーはノドの受け皿を奪って飲み干しました。

 さて、時間がないとは言え、ヤガーはどうして最後までヒントを聞く事をせずノドのお皿に決めたのでしょう。


2009-12-07 00:38  nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
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xephon

最初の正解者には地味に200dd差し上げます。
by xephon (2009-12-08 01:05) 

takehiko

他の話で恐縮ですが、
僕は今珍しくTVドラマを観ています。
その名も「ライアーゲーム」。
いかに必勝法と言われる正解を早く見つけて、
相手を騙して自分がゲームに勝てるか。
あらすじだけでは何だか殺伐としていますが、
これが演出と俳優陣に芸達者の方を揃えて、かなり面白い。

今回のカシムくんとリヴリーたちのヤガー女史との対決は
そのドラマを彷彿とさせますね。
この問題を作られたのは、そのドラマよりもずっと前ですのに^^
しかもリヴリーたちは嘘をつかない。

ヤガー女史はヒントを最後まで聞かずして
このゲームに勝ち(生き)残れるのかっ!?

・・・・・。
思わずもう一度検証をさせていただいてしまいました^^
by takehiko (2009-12-10 17:54) 

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